2024年5月2日
篠澤広
1.要約
黒土事務所では,現在の科学では論理的に説明できないと思われる多数の事象が観測される.未解明の事象については継続して観察していく.
2.はじめに
黒土事務所は山の上に建つ芸能事務所である.片道6時間(筆者計測)の登山道を登ることでアクセスできる.別名を「クロンサイファー」というが,これは事務所全体が船としての機能も備えているためこのように呼ばれている.建物の一階部分にはエントランスと鹿児島家系法螺貝専門店「武王」が店を構えている.建物内部の通路部には金属製の太い配管が張り巡らされているが,これは後述の龍崎薫が自由に行き来するための役割を持っている.
本レポートは,この事務所に所属する7名のアイドル(以下、“船員”と呼ぶ),およびそれらに関わる有象無象について私個人の観察した現象と,それに基づく考察を展開するものである.
3.先行研究
黒土事務所は他の芸能事務所に比べ,かなりの常軌を逸した点があることは否定できない.しかしながら,今まで研究対象として扱われた論文はなく,本レポートが実質的に初めての論文体で記された資料となる.したがって引用文献として示せる論文もない.その代わり,黒土事務所に関する情報が数多のイメソン企画ないし夢ソン企画において観測されている.今回はそちらをソースとして記載させていただく.
4.本論
以下,船員の7名について,それぞれの考察を記す.
(1)浅利七海
船員の1人.
151cmの14歳.私と歳が近い.
後述するメンバーに比べて,比較的常識的な性質をもつ“人間”である.魚を観たり食べたりすることを好む.生物学的な知識で魚について知っていることを本人の前で述べたところ,かなり好印象を抱かれたようだ.束ねた髪の毛で頭の横に大きな円を作る髪型を好んでいる.
ねとますによれば,黒土は彼女を食べようとしているらしい.何らかの公的機関にて彼女を保護する必要有り.
(2)五十嵐響子
船員の1人.サイドテールを好む.
黒土との関係性は夫婦であると述べているが,彼女の年齢は15歳であるため,ただの妄言であると思われる.
中学生の食事摂取基準条件を満たす様な食事メニューを私に勧めてくる.私にとっては量が多い.食べきれない.
(3)橘ありす
船員の1人.12歳の小学生.大きなリボンを後頭部につけることを好む.
ほかに彼女自身に特筆すべき特徴はない.日常的に黒土と口喧嘩が多いが,内容はたいしたものではない.
突然変異で巨大化した果実を好んでいる.彼女が言うにはイチゴの一種であるとのことだが,バラ科の果実でこれほど大きく育つ種はない.継続的に観察し,種を特定していく.
(4)依田芳乃
「かまれいぬ」と呼ばれる生物を飼っている.種族名は「ヤドラン」という.豚やカバに似た外見だが,特筆すべきは尻尾に付着した法螺貝である.ヤドカリのように空の状態のものを身につけているかと思いきや,貝殻そのものに意思があり,ヤドランの尻尾を咀嚼しているのだという.貝殻の先端には歌口がついており,依田芳乃が息を吹き込むと法螺貝の音が鳴る.なぜ中身が入っているのに音が響くのかも謎.本件についても要調査.
(5)龍崎薫
極めて不可解な物体である.麦茶をスライム化したような見た目をしているが,意思があり,会話ができる.アメーバ様生物だが,知能は人間の小学生並み.好奇心旺盛で可愛い.
当初,硫酸などの酸で皮膚に化学火傷を起こしているのではないかという仮説を立てたが,検証の結果棄却された.信じがたくも龍崎薫そのものが液状化しているようである.汗腺が体内の水分を常に放出させているが,海流のように全身を循環させているため脱水症状になることはないようだ.体を構成している物質の融点が常温以下であると思われるが,物質の同定については検証の余地あり.
(6)周防桃子
意味がわからない.
人間だがありとあらゆるものに“変身”できる.
他のアイドルになるだけならまだしも,おるますオールスター感謝祭によると,魚に変身した事象も目撃されている.歴史上,かつてジュゴンのような水生の大型哺乳類が人魚に見間違われたようなケースはあるものの,人間が“変身”して魚になることは科学的には考えられない.カメレオンに代表されるような色素細胞を用いているわけでもなく,ハナカマキリのように進化の過程で体の一部が別の生物に似た機構を持つ様になったわけでもない.忍者は変身の名人と言うが,潜伏や変装術に長けていただけで丸っきり違う生き物になれるわけではない.
かつてはワイプの中に居たらしい.ワイプの中とは?危険性があるため隔離されていた?謎は深まるばかり.要追加検証.
(7)福丸小糸
意味がわからない.
人間が山になったと供述している.あり得ない.
そもそも山がアイドルをしているというのも意味不明.ダンスをしたら大災害が起こってしまう.
「最近は地球と合体したんですよ」と言う.規模がおかしい.理解の範疇を超えている.今までこんなに理解できなかったことなんてなかった.初めて出会う現象ばかりで,本当に,本当に楽しい.
5.結論
つまるところ,現象の観察は概ねできたものの,ほとんどが要経過観察である.
なお,事務所の管理者たる黒土氏から「ウチの船員になりたければ,自分にしかない“色”を身につけてこい」と言われている.意味がわからない.悪魔の課題.こんな滅茶苦茶な個性を持ったアイドルたちの色に,どうやって対抗しろというのか.ちょっと考えただけで目眩がする.とても面白そう.頑張る.
6.参考文献
アイドルメモリーズ『ヤバい法螺貝のsusuru TV』
ねとます『わかさぎ姫の生死をかけた寿司ネタ100本勝負』
ろくます『エロティカ・セブン』
ぼかます『このリボンが目に入らぬか!』
びーます『タベテモタベテモ』『しゅぎょう』『まんざい』
おるます『ぼくのミックスジュース』『クラシアン・プライスソング』
ふぇいます『ダブルラリアット』
以上